屋外や水回り、湿気の多い場所で磁石を使用するとき、「錆びない磁石はあるの?」「水に強い磁石はどれ?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
磁石にはさまざまな種類があり、素材によって錆びやすさが異なります。また、錆びやすい磁石でも、メッキやコーティングなどの表面処理によって錆を防ぎ、耐食性を高めることができます。

完全に錆びないとは言い切れませんが、錆びにくい素材の磁石や、使用環境に適した表面処理を施した磁石を選ぶことで、錆の発生を抑えることが可能です。

この記事では、磁石が錆びる原因や錆びにくい磁石の種類、使用環境に合わせた選び方、磁石を長く使うための錆対策について解説します。

マグネット

磁石はなぜ錆びるのか

金属を含む磁石は水分や酸素の影響を受ける

錆びたマグネット

一般的に広く使われているネオジム磁石などの金属を含む磁石は、水分や酸素の影響を受けることで腐食が進む場合があります。特にネオジム磁石は鉄を多く含むため、表面処理をしていない状態では錆びやすい性質があります。

錆が進むと、磁石の表面が変色したり、崩れたりするだけでなく、磁石本来の性能や耐久性に影響する場合があります。

そのため、屋外や水回り、高湿度の場所で磁石を使用する場合は、磁石の素材だけでなく、耐食性や表面処理にも注意して選ぶことが重要です。

錆びる原因

錆びにくい磁石の種類

1. フェライト磁石(酸化物磁石)

フェライト磁石

フェライト磁石は、酸化鉄を主原料とするセラミック磁石です。酸化物を主成分とするため化学的に安定しており、金属磁石と比べて錆びにくいことが大きな特徴です。一般的には防錆を目的とした表面メッキを必要とせず、湿気のある環境でも比較的安定して使用できます。

一方、ネオジム磁石と比べると、同じ大きさで得られる吸着力は小さくなります。そのため、強い吸着力よりも耐食性やコストパフォーマンスを重視する用途に適しています。スピーカーやモーター、掲示用マグネットなど、幅広い製品に利用されています。

【フェライト磁石について】
https://magever.net/products/magnet-standard/#ferrite

2. 表面処理を施したネオジム磁石

フェライト磁石

ネオジム磁石は非常に強い磁力を持つ一方、素材自体は腐食しやすいため、通常はメッキやコーティングなどの表面処理を施して使用します。

代表的な表面処理には、ニッケル系メッキ、亜鉛メッキ、エポキシ樹脂コーティングなどがあります。必要な耐食性は使用環境や処理仕様によって異なるため、「どの処理が最も優れているか」を一律に判断するのではなく、用途に合った仕様を選ぶことが大切です。

また、表面処理は磁石そのものを完全に錆びなくするものではありません。メッキやコーティングに傷や欠けが生じると、露出した部分から腐食が進む可能性があります。

【ネオジム磁石について】
https://magever.net/products/magnet-standard/#neodymium

使用環境に合わせた錆びにくい磁石の選び方

1. 屋外・高湿度の場所

雨や湿気の影響を受けやすい場所では、耐食性の高いフェライト磁石が選択肢になります。強い磁力が必要な場合には、使用環境に適した表面処理を施したネオジム磁石も候補になります。ただし、屋外では雨水だけでなく温度変化や汚れなどの影響も受けるため、磁石単体の耐食性だけでなく、製品全体の防水・防食設計を考えることが重要です。

2. 水回り

キッチンや洗面所など、水滴が付着する可能性のある場所でも耐食性を考慮する必要があります。フェライト磁石のほか、用途に適したコーティングや樹脂で保護された磁石などを検討します。

水に触れる可能性が高い場合は、「錆びにくい」という理由だけで選ぶのではなく、防水構造や使用する材料全体の耐久性まで確認すると安心です。

3. 限られたスペースで強い吸着力が必要な場所

小型の部品や限られたスペースで強い吸着力が必要な場合は、ネオジム磁石が有力な選択肢です。その場合は、使用環境に適した表面処理が施されているかを確認し、メッキやコーティングを傷つけないように取り扱います。

4. 高温環境

高温になる設備や機器では、耐食性だけでなく耐熱性も重要です。フェライト磁石やサマリウムコバルト磁石などが候補になります。

磁石の錆を防ぎ、長く使うためのポイント

  • 水滴が付着した場合は、できるだけ早く拭き取る
  • 表面処理された磁石は、傷や欠けが生じないよう丁寧に扱う
  • 高湿度の場所で保管する場合は、湿気を避けて保管する
  • 屋外や水回りで使用する場合は、定期的に表面の状態を確認する
  • 腐食性の薬品や塩分などに触れる環境では、使用可能な材質・仕様か事前に確認する

特にネオジム磁石は、表面のメッキやコーティングが防錆の役割を担っています。傷がついた磁石を湿気の多い環境で使い続けると腐食が進む可能性があるため、状態を定期的に確認することが大切です。

使用例

「錆びない磁石」ではなく、環境に合った磁石を選ぶことが大切

一般に「錆びない磁石」と呼ばれるものでも、あらゆる環境で完全に腐食しないとは限りません。フェライト磁石のように素材自体が錆びにくいものもあれば、ネオジム磁石のように表面処理によって耐食性を高めているものもあります。

磁石を選ぶ際は、「錆びる・錆びない」だけで判断するのではなく、使用場所、水分や湿気の程度、必要な磁力、温度、コストなどを総合的に考えることが重要です。

耐食性を優先するならフェライト磁石、限られたスペースで強い磁力が必要なら適切な表面処理を施したネオジム磁石など、用途に応じて選ぶことで、磁石をより長く安定して使用することができます。

【マグエバー取り扱いのシリコンマグネットについてはこちら】
https://magever.net/products/silicon-magnet/

この記事を書いた人

ライター

真尾 登
(さなお のぼる)

【略歴】
東海大学 理学部 物理学科卒業
株式会社NEOMAXフェライト退社
株式会社マグエバー勤務